“ブランド・アンバサダー”──時計ブランドの顔を担う男たち

“ブランド・アンバサダー”はマーケティング戦略の有効な手段。多くの時計ブランドが、これを導入して成果をあげている。多いのはスポーツ選手で、次いで俳優陣の顔ぶれも多彩だ。イメージアップに活躍する彼らは、いわばブランドの顔。アンバサダーから、ブランドのポジションが見えてくる。
人選は慎重かつ大胆に!? アンバサダー契約の今
日本では宮内庁御用達、欧州では王室御用達というのは、昔からよく耳にする売り文句のひとつ。こう聞くと、何だかとってもよさげな商品のように思える。某タレントがドラマで着用したダウンジャケットが、あっという間に店頭から消えたこともあったっけ。有名人がブログなどで「これ使ってます」「これ買いました」なんて記載する“お仕事”も、結構な商売になっているとか。

かような例を挙げるまでもなく、有名人や著名人が使っているというのは、マーケティング戦略として、かなり有効な手段だ。同じものを使っても、その人のようになれるわけではないのだけれど、かのルソーも「すべての教育は模倣から始まる」と説いている。マーケティング戦略とは、ある意味、市場教育でもあり、その模倣の手本となるのが、そのブランドの商品を使う著名人、ブランド・アンバサダーと呼ばれる面々である。宮内庁御用達や王室御用達も、皇室・王室をアンバサダーに祭り上げているってこと?
それはさておき、ブランド・アンバサダーとは、起用した有名人が、市場において浸透したイメージに、商品や企業をリンクさせるイメージ戦略の一環。ゆえに人選には慎重を期する。アンバサダー就任中にスキャンダルなんてもってのほかだ。きっと契約書には、スキャンダルに対する重いペナルティが、記載されているのだろうな。ラグジュアリーブランドは、何よりイメージを大切にしているのだから。加えて、ほかのブランドの「色」がついていないことも、重要な選定理由となる。

ウブロのアンバサダーに就任したクリスティアーノ・ロナウドは、過去に自動車オイルのカストロールのブランド・アンバサダーを務めていたこともあったけど、時計とは別物だしイメージとしてもあまり浸透していないからセーフ。シャネルのアンバサダー、カミーユ・ラクールは、アマチュアスポーツ界の選手ということもあり、まっさらで他社のイメージは一切なく、そうした意味でも適任だとされのだろう。欧州ではセクシーさでも絶大な人気だしね。

彼らC・ロナウドやラクール、さらにオーデマ ピゲのリオネル・メッシ、写真では紹介していないけれど、ジネディーヌ・ジダンはIWCのアンバサダーを務めているし、ほかタグ・ホイヤーのマリア・シャラポワやスーザン・ペターソンなど、時計ブランドのアンバサダーには、アスリートが多い。これは演じる役柄によってイメージが変わる俳優と違い、アスリートはそのプレイスタイルでイメージが固定化されやすく、自社のスポーツウォッチのイメージとのリンクがたやすいから。