レトログラード日付表示付永久カレンダー機構を搭載した懐中時計

王侯貴族たちがパテック フィリップの時計を求めたいと思った場合、活躍するのが王族の御用達商人である。ここで紹介する懐中時計がつくられた1865年当時、スペイン王妃イザベラ2世付きおよびスペイン王室御用達商人は、マドリッドの時計師フェルナンド・デ・ラ・ペーニャであった。

彼は1860年代、グランド・コンプリケーションをはじめとする、当時のパテック フィリップの重要なタイムピースを多数買い上げており、これも購入したグランド・コンプリケーションのうちのひとつである。

Antoine Marie Philippe Louis d’Orleans|アントワーヌ・ドルレアンの懐中時計 02
持ち主はフランスの王族であるアントワーヌ・マリー・フィリップ・ルイ・ドルレアン(モンパンシエ公)。フランス王ルイ・フィリップ1世の末子である。彼はスペイン王妃イザベラ2世の妹、ルイーサ・フェルナンダ・ド・ブルボンと結婚しており、この結婚によりスペイン王子アントニオの称号も得ている。

こうした姻戚関係によって、スペイン王族付きのペーニャが、フランス王族ドルレアンの時計を注文したのだ。ケースにはアントワーヌと妻であるルイーサを統合した紋章冠が彫られている。

アントワーヌ・ドルレアンの懐中時計は、超複雑機構のひとつである永久カレンダー機構を搭載している。永久カレンダーとは、月の日数や4年ごとの閏年も計算に入れて、時計がグレゴリオ暦に基づくカレンダーを、自動的に修正して表示するというもの。