スイス初、パテック フィリップ初の腕時計

今回、紹介するのは、スイス初、そしてパテック フィリップ初の腕時計である。それまでも美しく宝飾が施されたブレスレットに時計が付属することはあったが、この時計のブレスレットは細く、シンプルに仕上げられており、あくまでも時計を主体としたデザインである。こうした点からも前者とは一線を画していることがわかる。現代に通じる腕時計の原点といってもいいだろう。パテック フィリップに残る販売台帳には、1876年11月13日にハンガリーのコスコヴィッチ伯爵夫人が購入したという記録が残っている。

First Swiss wristwatch|スイス初の腕時計 02
この腕時計は一見するとジュエリーのようだが、カバーを開けると時計が現れるというシークレット・ウォッチの一種だ。時計はカバーを備えた中央の時計部とそれを挟む左右のケースの3つの正方形から構成されている。

ただしカテゴリーは腕時計ではあっても、伯爵夫人が着用するためにつくられただけあって、装飾の美しさはジュエリー同様だ。カバー上面は2種類の立体的な花びらがダイヤモンドを囲み、ケースの上面は黒七宝が施され、金細工で縁取られたローズカットのダイヤモンドが配される。