リシャール・ミルの〝陰の右腕〟硬く、美しい素材加工の名手

リシャール・ミルが「RM055 バッバ・ワトソン」のベゼルに採用した素材「ATZ」。聞き慣れない素材だが、これは2000気圧で原料を高圧射出することによって密度を高め、結果、20〜30%硬度が高められた強化セラミックスである。このATZは、高硬度ゆえに優れた耐傷性を持ち、加えて、変色しにくいのも重要な素材特性だ。すなわち、RM055のピュアホワイトをいつまでも維持し、かつ傷も付きにくいという最適な素材なのだ。しかし、強化セラミックスという特質上、加工が困難なのが最大のネックである。

今回、名乗りを上げたのは、セラミックスやタングステンカーバイドなどの超硬素材の精密加工を得意とするメーカー「バンゲルター・マイクロテクニック」。CEOのマーク・バンゲルター氏は言う。

「当社からの営業の結果、セラミックベゼルを作ってほしいという依頼を受けました。素材を提案し、最終的にリシャール・ミルからOKをもらったのです」